ミシュラン一つ星「AMOUR(アムール)」で特別なひととき
先日、広尾のレストラン「アムール」さんに伺ってきました。
ちょうど秋のメニューに切り替わったタイミングなので、秋の旬食材をアムール流に楽しむことができました。
アムールのシェフは後藤祐輔さんで1979年生まれ。
我々にとってはお兄さん世代ですが、見た目がお若く、同い年か年下くらいにも見えました。
アムールは2013年にミシュラン一つ星を獲得してからずっと獲得し続けているお店です。
三つ星~一つ星までたくさんお店を見てきましたが、アムールの特徴は、「日本」を生かしたフレンチであることです。
日本×フレンチというと、結構「フュージョンっぽさ」に傾倒しがちというか、物珍しさ、面白さに重きが置かれやすい気がします。
しかしアムールは、日本人が日本の食材を使って、フレンチを表現したという感じで、古式ゆかしいフレンチをそのままに日本人の繊細な感性で再解釈をしているように感じます。
後藤シェフがそのように考えているかはわかりませんが、印象としてはそのような感じですし、食事前に届けられたシェフからの手紙にも近いメッセージが綴られていると解釈できます。
そのためサーブされるときのエンターテインメントも、慎ましさ、奥ゆかしさがあるパフォーマンスと感じます。
さっそくこの日いただいたお料理を紹介していきます。
こちらはシェフからの手紙。
メッセージと本日のメニューが書かれています。
「オマールエビ・ゆり根・とまと」は後藤シェフのスペシャリテ「オマールエビのビスク」です。
とても楽しみです。
アミューズの栗拾いは栗のパイ包み。
栗のはいった籠の上に、栗のパイ包みが鎮座しているところから拾い上げていただきます。
そのまま口の中に入ってしまったので写真はないです。
前菜1つ目は脂ののった戻りガツオの燻製を米粉のクレープで巻いて食べるお品。
お皿が届く前にボトルに入った薫香が届られます。
最初にその馨しい香りをかぐことで、前菜への期待感が高まりました。
脂乗りがいいカツオだったので燻され、しっかり香りをまとっていました。
脂乗りがよくないと冷燻したときに香りが薄くしかつかないので、物足りなさがでてしまうかもしれませんが、こちらはいい香りでした。
茄子のピューレにお出汁のゼラチンシートは塩味は抑えてあり、あくまでカツオと薫香を楽しんでほしいという一皿のようでした。
前菜として最適な一品でとてもおいしく、今後のお皿に期待が膨らみます。
前菜2つ目。
これは参った、と思った一品でした。
蕪のムースが一番下にあり、その上にカニ、いくら、聖護院蕪、わさび、だしのジュレが載せられています。
正直これほどまでに完璧な前菜を食べたことがないと思いました。
あっさりしていて濃厚。芳醇で喉通りがよい。
相反するような印象が完全に共存していました。
またわさびやジュレの量も適切で、すべての食材のすべての味が量が、完全に補完関係になっています。
とてつもないバランス感覚を持ったシェフだと思いました。
ずっと口の中で転がしていたいと思いながらいただきました。
魚料理は甘鯛の松かさ仕立て。
複数種のキノコが甘鯛の下に添えられています。
サーブしてから最後にキノコで作ったソースをかけていただきます。
松かさ焼きが大好きなので、よく食べますが、キノコソースでいただくのは初めてでした。
こちらもおいしかったです。
次はメインの前のスペシャリテ。
オマールエビのビスクです。
トマトのフランが皿の下にあり、その上にオマールエビとゆり根とカイワレ大根が乗った状態でサーブされます。
最後にオマールエビのビスクを注ぎ入れられてテーブル上で完成します。
ビスクは濃厚そのもので、普通のエビではない、オマールエビらしいうま味・濃厚さがしっかりとスープに表れていました。
下のフランと一緒にいただくことで、トマトのさわやかさが加わって、より深い味わいになります。
それだけでも完成されそうなビスクにゆり根を合わせるというところが、とんでもなく素晴らしく、この触感・マッチングはゆり根以外に表す食材はないなと実感しました。
後藤シェフの引き出しの多さ、化学反応を起こさせる計算力。
本当に素晴らしいと思いました。
メインは小鳩です。
ローストしたあとに最後に焚火で仕上げるそう。
仕上がったお皿はこちらです。
すでにおなかがいっぱいだったので、少な目にしていただきました。
食べたらおいしくてもっと食べれたなと量を調整してもらったことを後悔するくらいおいしかったです。
右側にコロコロしたものが乗せられていますが、これは内臓です。
内臓もくさみえぐみは皆無で、ただうまみの塊になっていました。
特にレバーは柔らかく甘く最高でした。
お口直しのデザート。
梨と柚子のシャーベットです。
梨は薄くロール状にしてあります。
口の中をしっかりリセットできました。
デザートは秋らしい栗とチョコレートの組み合わせ。
チョコレートアイスを粉末状にしたものと、プラリネを包んだチョコレートとマロンクリームを一緒にいただきます。
チョコと栗は重くなりやすい食材ですが、軽やかで、コースの終わりを静かに落ち着いて楽しめる、後藤シェフの気遣いを感じました。
最後にお茶菓子としてミニチュアプティフールが届きました。
どれも親指大くらいのかわいらしいサイズですが、丁寧に作られています。
我が家からは散歩がてら行ける場所ですが、恵比寿駅からも広尾駅からも若干アクセスが悪い立地にありますが、ぜひ行ってみてほしいと思えるいいレストランでした。
また年内中に冬のコースに変わったタイミングなどで伺いたいと思います。
今日はこんな感じでまったり終わります。